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旧耐震基準の賃貸物件を管理する大家の責任とは?必要な耐震対策も解説

カテゴリ:賃貸管理

旧耐震基準の賃貸物件を管理する大家の責任とは?必要な耐震対策も解説

日本のいたるところで大きな地震が発生しており、所有している賃貸物件の安全性が気になる大家もいるでしょう。
賃貸物件の大家は建物と入居中の方の安全を守るため、事前に対策を講じておくことが重要です。
今回は賃貸物件の安全性を左右する耐震対策とは何か、旧耐震基準の概要や大家が負う責任とあわせて解説します。

旧耐震基準の賃貸物件とは

旧耐震基準の賃貸物件とは

建物の耐震基準は旧耐震基準と新耐震基準の2種類です。
まずは双方を比較し、違いなどを確認しましょう。

旧耐震基準とは

旧耐震基準とは1950年11月に制定された基準で、建築確認を受けた時期が1981年5月31日以前である賃貸物件に適用されたものです。
耐震基準としてはもっとも古く、1919年当時の市街地建築物法の代替法として制定されました。
中規模な地震に耐え得る設計が必要なため、旧耐震基準で建てられた賃貸物件は震度5強程度の揺れが生じても損傷はほとんど見られず、倒壊および崩壊のおそれもありません。
一方で震度6強以上の強い揺れに対する規定はなく、大規模地震への備えとしては不十分と言えるでしょう。

新耐震基準とは

新耐震基準とは、建築確認を受けた時期が1981年6月1日以降の賃貸物件を対象とした基準です。
1978年に発生した宮城県沖地震をきっかけに、1981年6月、旧耐震基準から新耐震基準へと改正されました。
新耐震基準を満たした賃貸物件は、かりに数十年に一度のレベルで起こり得る震度5強程度の中規模な地震が発生しても、ほとんど損傷が見られないとされています。
また、数百年に一度のペースで発生すると言われる震度6強~7程度の大規模な地震に対しても、新耐震基準を満たせば倒壊および崩壊を免れる可能性が高いです。

旧耐震基準と新耐震基準の確認方法

賃貸物件が旧耐震基準か新耐震基準のどちらを満たしているか確認するには、まず建物の築年数から建築年月日をチェックしましょう。
賃貸物件が建てられた日が1981年6月1日以前である場合は旧耐震基準、同日以後のケースでは新耐震基準を満たしていると判断できます。
ただし、建築日が1981年6月1日前後の賃貸物件は建築年月日や竣工日ではなく、建築確認済証の発行日である「建築確認日」での判断が必要です。
建築確認日とは、設計会社が役所に提出する建築確認申請が受理された日を指します。
申請当時に施工業者から受け取った「確認通知書」または「建築確認済証」に記載されているため、一度確認してみてください。
手元に書類がない場合は建築確認申請先に問い合わせ、確認台帳記載事項証明を発行できるか調べてみましょう。

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旧耐震基準しか満たしていない賃貸物件を管理する大家の責任

旧耐震基準しか満たしていない賃貸物件を管理する大家の責任

管理する賃貸物件が旧耐震基準しか満たしていない状態で大地震が発生した場合、大家は多大な責任を負わなければなりません。
賃貸管理をおこなうならば、予測できない地震への備えとして知識を蓄えておくのは必須です。

損害賠償責任を問われる

仮に旧耐震基準だけを満たした賃貸物件が瑕疵により倒壊、人的被害が生じると、大家に賠償責任が発生するおそれがあります。
対象の人的被害は賃貸物件に入居中の方と近隣に住む方で、具体的には対象の方が安全性に気を付けていたにもかかわらず負傷したケースもしくは死亡したケースが該当します。
これは民法第717条「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」で定められており、耐震基準を満たさない賃貸物件で発生した損害は、大家が賠償しなければなりません。
なお、敷地に設置されたブロック塀が老朽化しており、なおかつ地震による倒壊で負傷者が生じたケースも同様、大家は損害賠償責任を負うことになります。

耐震診断の義務

旧耐震基準にもとづき建てられた賃貸物件の大家には、耐震診断をおこなう義務があります。
耐震診断とは、旧耐震基準にもとづく建物に新耐震基準を当てはめた場合、同じ程度の耐震性を有しているか調べるものです。
建築確認日が1981年5月31日以前であり、3階建て以上かつ1,000㎡以上の賃貸物件が対象になるため、該当の賃貸物件を管理する大家さんは診断を受けましょう。

賃貸物件の修繕

賃貸物件の修繕管理および自然災害を原因とした損壊の修繕も、大家に義務付けられた責任の一つです。
大家に対する修繕義務は、民法第696条でも「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。
仮に修繕義務を大家が果たさず、結果的に入居中の方や家財道具に被害が生じた場合、大家の責任が問われるリスクがあるため注意が必要です。
ただし新築さながらの大規模修繕が必要になるなど、あまりにも被害の規模が大きいケースは大家の経済的負担が大きくなることから、修繕責任が免除になることもあります。

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旧耐震基準の賃貸物件における耐震対策

旧耐震基準の賃貸物件における耐震対策

旧耐震基準にもとづいて建てられた賃貸物件は、安全性の確保に向けて耐震対策を検討する必要があるでしょう。

耐震診断の実施

耐震対策としては耐震診断の実施が有効です。
耐震診断を請け負う会社あるいは自治体に相談すると、賃貸物件の設計図書や履歴を専門家が調べる予備調査がおこなわれます。
相談先として耐震診断会社を選ぶ場合は、事業者登録があり診断実績が豊富で、なおかつ耐震診断および耐震改修技術者資格を保有している会社が望ましいです。
予備調査が済んだら現地調査を実施し、調査結果をもとに耐震性を総合的に評価してもらえるほか、内容次第では耐震補強工事を提案されることもあります。

耐震補強

耐震診断の結果、耐震補強工事の必要性があると判断されたら、耐震対策として工事の実施を検討しましょう。
耐震補強工事は外部・内部・基礎・屋根の4パターンあり、費用もそれぞれ異なります。
外部を補強する工事は外壁の撤去が必要となり、幅910mmのケースで費用の目安は約13万円~15万円です。
外壁を撤去できないケースは室内からの補強工事が必要で、幅910mmのケースでは約9万円~12万円かかります。
基礎部分にひび割れがみられる場合は基礎の補強工事が実施され、1㎡あたり4万円~5万5,000円かかるのが一般的です。
また、屋根が重く地震による大きな揺れが懸念されるケースでは、1㎡あたり1万5,000円~2万円で重量を軽減する工事が実施されます。
耐震補強工事にかかる費用相場は100万円~150万円と高額ですが、国あるいは自治体が助成制度をおこなっているため、万全の対策を講じるために確認しておきましょう。

賃貸物件の建て替え

安全対策として耐震補強工事を実施すると費用が高くなりすぎる場合は、一度解体して新築したほうが良いかもしれません。
耐震補強工事は賃貸物件の耐震性に関するリスクを根本から払しょくするものではなく、建て替えたほうがコストを抑えられる可能性があるためです。
また賃貸物件を建て替えると耐震性が高くなって付加価値が増し、今までよりも家賃を高く設定しやすくなり、収益の向上や安定化も期待できるでしょう。
一方で、建て替えには入居中の方の立ち退き手続きや費用負担の問題もあるため、よく検討したうえで進める必要があります。

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まとめ

1950年に制定された旧耐震基準とは、震度5強程度の地震が発生しても建物が倒壊しない基準を指します。
耐震基準を満たさない賃貸物件の大家は、損害賠償責任や建物の修繕など、さまざまな義務を負わなければなりません。
安全安心な賃貸経営に向けて、耐震診断や耐震補強工事などの耐震対策を講じましょう。

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